鳥居は簡単な構造の門であって、木造では日本古来からあり、それを石で作るようになったのである。神社に多いが、寺や墓地の入口にも設けられていた。形式はいろいろあるが古くから一般的なのは明神鳥居である。市内の石造鳥居のうち、降松神社(くだまつじんじゃ)、切山八幡宮、米川神社、貴布祢社(きふねしゃ)、花岡八幡宮が最も古く、いずれも十七世紀末のものである。石質はいずれも赤味をおびた荒花崗岩であるが、切山八幡宮のものは硬質のものが使用されている。規模の最も大きいものは花岡八幡宮のもので、降松神社の鳥居はいつのころか破損し一部新石材が使用されているのが残念である。
現代のような機械のないあの時代に、このような重量のあるものを、どうして運搬、建立したのか想像しかねる。しかも現在びくともせず高らかに聳(そび)え立っているのである。