5、鳥居(とりい) (花岡八幡宮 三の鳥居(はなおかはちまんぐうさんのとりい))

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 花岡八幡宮社務所前のこの鳥居は、一の鳥居より五十メートル上の八幡山に運びあげられている。現在のような石段も築かれておらず、全高四・二メートル、柱囲一・〇八メートルの重い石材をどうして上げたのであろうか。
 西市の住人林氏が、寛政七年(一七九五)氏神様の神恩を感謝し、今後の家業の益々の繁栄と、海上交通の安全を祈願して奉納されたものである。
 林氏は末武の富豪で、回船を持ち、海上交通を業としていた。しかし、当地方における回船業は、昭和初年から急激に衰えている。
 鳥居は白味の花崗岩で「けずり」「みがき」もよく、石組み、石合せは精巧で、形、姿共に大変美しい。刻文は、出雲守従五位下基徳が起案し、徳山藩漢学者の黒神氏が校正している。
 右柱の刻文
       維石不朽陰陽合徳天壞国柱根本確固
       干載無傾萬世如新〓光祠壇永仰冥助
    (訳) この鳥居は永遠に朽ちることなく、陰陽の徳を合わせ、天地とともに永く伝わり、国家の根本は高らかに栄えて極まることなく、神の威徳恩頼は常に新たなるごとく永く仰がれる。
 左柱の刻文
       寛政七歳乙卯弥生吉焉
           願主 林 孝右衛門絹堯
              林 政右衛門周茂