獅子(しし)ともいい、獅子形を一対に作り神社の前や神殿の縁におく。その源流は、中国の漢代以来の帝陵の前においた石獅子にあり、守護的な像としてわが国にも用いられた。
石狛犬としては、鎌倉時代(一一九二年~一三三三年の約一五〇年間)の初期に宋製のものが輸入されたが、和風化した作品のあらわれるのは、鎌倉時代の後期からである。江戸時代(一六〇三年~一八六七年の約二六〇年間)には、宋風のものが造られるようになった。
この狛犬は、獅子の変形として韓土(かんど)から渡来したので高麗犬(こまいぬ)といい、狛(はく)は貊国(ばくこく)の貊の字が訛(なま)って用いられたという。
神社や社殿の内外に守護と装飾との意味を兼ねて置かれている。これは「邪を防ぎけがれを除き、神域神殿を守り神に仕える」とされている霊獣であるから、古くから神前に置くことが広く行われている。拝殿のすぐ前や、参道の入口、鳥居前にあるものの他に、神殿の内や外にも据(す)えられている。
形状は種々様々で次のようなものがある。
1、双方とも頭に一角を有するもの
2、一方のみ一角を有するもの
3、双方とも角をもたないもの
また、口の形についても
1、双方とも開いているもの
2、一方のみ開いているもの
3、双方とも閉じているものがある。
いずれも左右一対になっており、一般には神前に向かって右が雄(阿形(あぎょう)・陽)で口を開き左側にあるのが雌(吽形(うんぎょう)・陰)で口を閉じている。
つまり「コマイヌサマ、ア、ウン」になるわけである。