5 猫守様(ねこもりさま) (花岡上浴(はなおかかみえき))

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 台石の上に本体の石、扉石を置き、切妻の屋根石を重ねた単純な石祠がある。それには
 右側扉石  不動明王
 左側扉石  お大師様
の字が浮き彫りに刻まれている。
 場所は、西は八幡山、東は田を経て亥子(いのこ)山がある浴どころで、戦前までは東西の山に茂った森があり、昼でも一人で通るのはなんとなく薄気味悪い所であった。夕方暗くなると狐(きつね)や狸(たぬき)が出没し、被害のうわさも起った。(若者によるいたずらもあったようである。)そこで悪鬼を静めるために祭ったと伝えられている。そのように聞くと両扉の彫物の意味がわかる。祭ったのは明治初年ごろといわれ、土地の者は「猫守さま」と呼んでいる。