昔の萩藩領末武下村と、徳山藩領西豊井村との境を流れる玉鶴川河畔の、通山家の前にある花崗岩製の石祠で、扉を開くと中央に「道祖神」と彫られている、俗に「さいの神」とも、「さえの神」ともいい、この神は道路の守り神であるとともに、疫病や災難が自分たちの村落に入らないようにとのお呪(まじな)いに祭られた神である。昔から土地の人々は「うまもりさま」と称して子供の咳(せき)の病などに霊験があるとして、平癒(ゆ)を祈願し病気がなおると「わら馬」を作ってお礼参りをする民間信仰がある。
このそばに、安山岩に陽刻した像がある。風化がひどく明確ではないが、この方が古い塞(さい)の神とも考えられる。道祖神の本地は地蔵尊との説もあるので地蔵尊かも知れない。造立年代は不明である。