笠戸島深浦の深浦八幡宮の境内、深浦稲荷神社のそばにある石祠である。同じ場所に大年神と豊秋大神と三つ並んだ石祠の中のひとつで、一番端に安置されている。伝記によると、明治二十八年三月に神祠(しんし)をつくり「鰓権現」をお祭りしたとなっており、鰓は「エラ」、「アギト」と読み、調理して捨てる「エラ」をおまつりし、魚への感謝とその霊を慰めるためのものだとある。
また、漁業の繁栄をもお祈りした、あまり他に類をみない大変珍しい神祠である。
漁師の方たちは、お参りする時に魚を持って行き、神前にお供えして祈願したという。