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下松市の石造文化財 祈りと生活
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十六、信仰石(しんこういし)について
1、信仰石(しんこういし) (磐代(いわしろ)) (深浦(ふかうら))
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深浦八幡宮の石段の右手に祠(ほこら)がある。格子戸を開けると、石扉(せきひ)のある切妻屋根の二つの石祠が大きい一枚石(花崗岩)の上に祭ってある。左手は「恵美須大神(えびすだいじん)」、右手は「綿津見大神(わたつみだいじん)」と刻まれ、側面に文化十酉年(一八一三)と建立年が記してある。
深浦はその昔、後背地の農地と共に半農半漁の地で豊漁を恵美須社に祈り、更に海上での安全を綿津見神(海神)にお祈りしたものである。
石祠の後に「磐代(いわしろ)」がある。磐代は三体あり、二体は等身大で一体は子供ぐらいである。いずれも神を表徴した頭部、体部からなる自然石(赤御影)で、石祠以前に崇拝の対象であったと推察できる。
この磐代のいわれは不明であるが、素材がこの山から出た自然石でないことは明白である。