星宿図(寺伝須弥山図)

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星宿図(寺伝須弥山図)

《県指定有形文化財》
(絵画)星宿図(せいしゅくず)(寺伝須弥山図)(じでんしゅみせんず) 一基

指定年月日昭和52年3月29日
所在地下松市生野屋宮本
所有者多聞院

 本図は古くから須弥山図(しゅみせんず)として、生野屋の松尾八幡宮に伝えられ、明治の神仏分離とともに同宮の社坊多聞院(たもんいん)に移された。
 木造で高さ48.1cm。最下段は方形台、上四段は円筒形で、各段の側面と最下段の底面に白土下地し、極彩色で図像を描く。最下段の底面は宝形に凹められ吉祥天(きっしょうてん)と四大龍王を描く。表下段には三十六禽(きん)(鳥獣形)、上段には二十八宿諸神(神像形)を白抜きの小円内に描く。
 第二段には十二天、第三段には十二宮の諸像を描くと思われる。第四段には人身鳥頭有翼像三体と有翼像一体を、最上段の上部には兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)を、下部には帝釈天(たいしゃくてん)を描くと思われる。
 これら諸像のうち十二宮、二十八宿は星宿図に不可決であり、時に三十六禽(きん)も描かれることから考えて、星宿に関するものであることは明らかである。製作年代は明確でないが、図像表現の特徴から考えて鎌倉時代をくだらないとみてよい。
 本図は古く寅年に開帳されたと伝えられるが、寅開帳(とらかいちょう)や本図の製作がどのような信仰に基づくものかは、今後の研究をまたねばならない。