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(六) 池辺護岸

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 池泉護岸のうち手前には、めだたぬ程度の石組が認められる。
 西側山寄りの対岸には、格別石組を施していない。原初からの構想か乱杭等が後年失われたものかは不明であるが、杭や石積の痕跡もなく又拝石から庭園奥部を眺めるかぎりでは、遠くにあって、岸はむしろ往時の姿をとどめるものと見たい。奥部に石組を欠くことは、奥行きを深く見せることに有効である。
 他に東西二つの出島は、小振りの割石で石垣のように積まれている。小池泉でありながら、このように池辺護岸手法に変化をもたせたことは、後述するように、常栄寺庭の模倣とも推考される。(常栄寺方丈前方池泉南部の乱杭は、残念ながら現在は石積に改変されている)