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(三) 山田妙見道

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山田村妙見道 『都濃郡河内村明治二十年地誌』

 山田村には、妙見社別当鷲頭寺の末寺真言宗蓮台寺が在る。蓮台寺については、『寺社由来』寛延二年(一七四九)に
   防州都濃郡山田村真言宗紫雲山蓮台寺
  一当寺開山中興建立の時代共ニ相知レ不申候、先年水落と申所の頭ニ有之 何の時代ニ当山之相引候段相知レ不申候其所古蓮台寺と申伝候
と記している。又『地下上申』寛延二年(一七四九)には、
  紫雲山
  一真言宗蓮台寺中村之内大江ニ在り
と記し、山田村江ヶ原よりの道程を
  一河内村ノ妙見村へ廿五丁
と収録している。あえて妙見村との距離を廿五丁と記したことは、当時妙見への頻繁な往来を意味するものであろう。さてこの蓮台寺からの妙見道は、七曲がりを下り、川の西側中原・神河内・利光寺・光成・上久保をほぼ山田村の川沿いに下り、東河内・光円寺西側の越路道を経て、往還道を少し東に向き、河内村の松の下・京田から出合川(現在の切戸川)を渡り(註一)、小野・黒杭・笠松を経て成川に至る。
 次に成川の通称宮河内(みやがいち)に架る妙見橋(この橋で来巻村・熊毛方面からの妙見道と合流する)を渡り通称ヘイバタの浴を登り、更に三井・浅江村よりの妙見道と合流して北に向いぬた・鬼ケ浴をほぼ尾根沿いに進むと、中宮に至る。
  (註一)この場合出合橋を渡るコースより、そのまま切戸川に沿って下り、大河内の妙見橋を渡る表参道の方が、参拝は容易である。他の妙見道にも言えることだが、あえて山道を選んだのは、当時の人々が、生活習慣から山路の歩行を難儀としなかった為か、山岳信仰の故に難行を一つの修行と考えたためであろうが、現代人には、理解しがたい一面である。