私は本年八十二歳になります。足腰も不自由で再度実地を踏査したい点もありますが、目も白内障になり読書も思うように出来ず、この本が私の最後の労作として発刊することになると思えば、内心忸怩たるものがあります。皆様の何かの御参考になればと存じます。
なお、元山口文書館副館長広田暢史先生は私の年来の師で、山口図書館・山口文書館を通して多年御親切な御指導をいただきました。史料の少ない私を常に励まし導いてくださいました。また西島先生にも終始御援助いただきました。両先生に厚く御礼申し上げます。
また岡田印刷社長さんには印刷・写真について大変御厄介になりました。平素より郷土史についていろいろと御高見をいただいておりました。このたびの発刊にあたり、印刷・写真についてはすべておまかせいたしました。たくさんの方々のお力添えによって本書を出版することが出来ましたことを重ねて厚く御礼申し上げます。
また、次の項目について私の存命中、研究したいと思っていましたが、出来ず残念に存じます。
1 末武村の条理の制
2 閼伽井坊の多宝塔と花岡八幡宮の由来
3 来巻村の嶽社と神舞の由来
4 各指定文化財の歴史的背景について
終わりにあたり、皆様にお詑び申し上げます。本書を発刊するに当って多年にわたり御門徒の皆様に大変御迷惑をおかけいたしました。何よりも平素の布教・伝道が不十分になったことを省み、深くお詑びいたす次第であります。
あと余命いくばくもないことと思いますが、命のある限り仏法弘通のため全力を尽くしたいと存じます。
合掌念仏
平成二年九月宝城興仁