その北の一隅に貴飯という地名の場所に美栄(みさかえ)神社がある。
美栄神社は、かつて江戸時代の終り頃まで妙見大菩薩社と呼ばれており、その近くにもまた小さな妙見社がある。
この妙見大菩薩社も昔、下松の妙見社の御分霊がおまつりされていた。
この妙見大菩薩社には大般若経がおさめられている。それには応永三十二年(一四二五)長州千葉山・妙見下宮と書いてある。
大般若十六神
また、鰐(りん)口には、大江宣秀、天文元年(一五三二)と記してあり、大内義隆の時代であることがうかがえる。
しかし、現在は大国主命をおまつりされて美栄神社となっている。
このことは、この神社にとってどのようなことがおきたのであろうか。
数百年間おまつりされていた妙見さまが、江戸時代の終りにかえられたということは、もうすでに、この小さな場所から神佛分離令の波がおこった。