下松妙見風鎮大踊くどき 奈良県龍田局区内法隆寺 辰己利郎 作 一、瀨戸(せと)の浦曲(うらわ)の波清(なみきよ)らかに 松の翠(みどり)もとことわ榮(さか)ゆ ここは下松鷲頭の寺(くだまつわしづのてら)の 世(よ)にも名高(なだか)き妙見尊(みょうけんそん)の 古き緣起(えんぎ)を説(と)き上(あ)げまする 濱(はま)の砂(いさご)と数(かず)ある星(ほし)の わけて司(つかさ)の北辰菩薩(ほくしんぼさつ) 國(くに)を治(おさ)めて人(ひと)をば救(すく)う 神仙(かみ)の神仙(かみ)なる妙見尊(みょうけんそん)よ 神仙の神仙なる妙見尊よ 二、そもそも当寺(とうじ)の本尊(ほんぞん)さまは 百済国(くだらくに)なるりん聖太子(しょうたいし) 傳(つた)え給(たま)いし最古(さいこ)の尊像(そんぞう) いわれ来歴申(らいれきもう)そうならば 頃(ころ)は推古(すいこ)の帝(みかど)の御代(みよ)に 今(いま)の下松鷲頭の庄(くだまつわしづのしょう)の 松(まつ)の大樹(たいじゅ)に大星降(おうぼしくだ)り 七日七夜(なぬかななよ)を輝(かがや)きわたる み人(こ)に託(たく)して告(つ)げしめらるは 「吾(われ)はすなわち北辰菩薩(ほくしんぼさつ) 三歳(みとせ)たちなば百済(くだら)の王子(おうじ) ここに来(きた)らん擁護(よもり)の吾(われ)ぞ いざや天朝(みかど)へ告(つ)げよ」と申(もお)す 三、話變(はなしかわ)ってりん聖太子(しょうたいし) 日頃菩薩(ひごろぼさつ)を敬(うやま)いけるに ある夜(よ)老翁(おきな)が夢路(ゆめじ)に立(た)ちて 「東海國(とうかいくに)あり即(すなわ)ち日本(にほん) 皇子御名(おうじおんな)は聖徳太子(しょうとくたいし) これぞ生身(いきみ)の観音菩薩(かんのんぼさつ) 彼(かれ)に仕(つか)うる佛(ほとけ)の道(みち)を 住(ゆ)きて輔(たす)けよ汝王子(なんじおうじ)よ 吾(われ)は北辰降(ほくしんくだ)ると聞いて 太子勇(たいしいさ)んで壯途(そうと)に上(のぼ)る 海路(うなじ)はるかにまり生(ふ)に着(つ)いて 先(ま)ずは問田(とんだ)の宮居(みやい)に入(い)りぬ 四、太子(たいし)この秋(あき)桂木宮(かつらぎぐう)に 百済持来(くだらじらい)の妙見像(みょうけんぞう)を 祭(まつ)り北辰供養(ほくしんくよう)をなさる 次いで鷲頭(わしづ)に宮(みや)をば移(うつ)し 上の宮(うえのみや)には虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ) 中の宮(なかのみや)には妙見菩薩(みょうけんぼさつ) 祈(まつ)り佛(ほとけ)にお仕(つか)え申(もお)す 太子後(たいしこう)えい大内宗家(おおうちそうけ) 世(よよ)に栄(さか)えて信仰厚(しんこうあつ)く 七坊備(ひちぼうそな)わり法(のり)の燈絶(ひた)えず 次(つぎ)を受(う)けたる毛利(もうり)の世(よ)には 伽藍宝塔彌栄(がらんほうとういやさか)えしに 時(とき)に盛衰(せいすい)まぬがれ難(がた)く いまは住時(むかし)の姿(すがた)はないが 深(ふか)き信仰(まこと)に心(こころ)をあわせ 今(いま)ぞ新(あら)たな平和(へいわ)の春(はる)に 榮(さか)え重(かさ)ねん歴史(れきし)に映(は)えて 榮(さか)え重(かさ)ねん万代永(よろづよなが)く 下松妙見ばやし 下松市 有田花外 作 一、空(そら)に輝(かがや)く星(ほし)の街(まち) 明日(あす)の幸(しあわ)せ祈(いの)りつつ 拝(おが)む下松妙見(くだまつみょうけん)の 光(ひか)る七星北斗星(ななほしほくとせい) ピカリピッカリピッカリコ 不思議(ふしぎ)な御徳(おとく)ありがたや 二、参(まい)るお宮(みや)に数々(かずかず)の 思(おも)い出(で)多(おお)い願(ねが)い込(こ)め 頼(たの)む下松妙見(くだまつみょうけん)の お蔭(か)げ嬉(うれ)しく受(う)けて発(た)つ ピカリピッカリピッカリコ 星(ほし)の本場(ほんば)の星祭(ほしまつ)り 三、鷲頭(わしず)の山(やま)の風受(かぜう)けて 花咲(はなさ)く春(はる)の切戸川(きりとがわ) 清(きよ)い流(なが)れに妙見(みょうけん)の 男星女星(おぼしめぼし)の美(うつく)しく ピカリピッカリピッカリコ 水面(みづも)に映(うつ)す仲(なか)の良(よ)さ 四、瀬戸(せと)の下松笠戸島(くだまつかさどしま) 会(あ)うて嬉(うれ)しや恋(こい)ケ浜(はま) 縁(えん)を取(と)り持(も)つ妙見(みょうけん)の 赤(あか)く染(そ)め成(な)す大橋(おおはし)を ピカリピッカリピッカリコ 渡(わた)る夜空(よぞら)に七ツ星(ほし) 五、花火綺麗(はなびきれい)な夏(なつ)の空(そら) 響(ひび)く太鼓(こ)の総踊(そうおど)り 唄(うた)う手拍子妙見(てびょうしみょうけん)の 七ツ口解(くど)きに気(き)も揃(そろ)うた ピカリピッカリピッカリコ 町(まち)の栄(さか)えに手(て)も揃(そろ)うた 六、古(ふるる)い伝(つた)えは星(ほし)の神(かみ) 祝(いわ)い目出度(めでた)い聖(きよ)い地(ち)の 松(まつ)の緑(みどり)に舞(ま)い降(お)りて 今(いま)の下松(くだまつ)名(な)を残(のこ)す ピカリピッカリピッカリコ 平和日本(ヘいわにほん)の妙見宮(みょうけんぐう) 下松小唄 (1) 星が降った 金輪の社よ 七日七夜さ 光って飛んで 松はときわの 色かへぬ 今は昔の 夢のあと ノンタ/\ゴアンスノー (2) ここは名おふ 妙見さまで ソットおみくじしてみやしゃんせ 縁も大吉 お家も榮ゆ 鶴と亀とが 舞ひ遊ぶ ノンタ/\ゴアンスノー (3) 周防の橋立 宮の洲鼻よ 日本石油の 油を乗せて 行くは日立の 汽車の笛 積んでお帰れ 食卓塩 ノンタ/\ゴアンスノー (4) 花の中宮 おぼろに霞みや 坂もうね/\曲りに曲り 両人ならんで 拍手に ほろり又散る やま桜 ノンタ/\ゴアンスノー 周南七福神妙見大黒天の歌 有田花外 作 (一) 唄いませうよ踊りませう 心の花を開きませう 古き伝えの神まいり 揃うてのりませう宝船 呼々ありがたや 七福神 (二) 打出のこづち大黒天 自在天王化身にて 授けたまえる福の神 商売繁昌くだまつの 呼々ありがたや 鷲頭寺(ジュトウジ) (三) 利益の海に帆をあげて 恵美寿・大黒・福禄寿 毘沙門・布袋に寿老人 弁財・乗り込む宝船 呼々ありがたや七福神 |