周南七福神めぐり

 / 115ページ
周南七福神まいり
 
七福神のおしえ
 七福神は、仁王護国般若経(におうごこくはんにゃきょう)の七難即滅(しちなんそくめつ)・七福即生(しちふくそくしょう)よりおこり、インド・中国・日本の三国の神仏が組み合って出来ております。
 日本古来の神道の神である地祇(ちぎ)(恵比須(えびす))と、仏教に説く天部(てんぶ)の諸尊(しょそん)(大黒天(だいこくてん)・毘沙門天(びしゃもんてん)・弁財天(べんざいてん))と、中国の道教(どうきょう)が説く仙人(せんにん)(福禄寿(ふくろくじゅ)・寿老人(じゅろうじん))と、人間(布袋(ほてい))、これに恵比須(えびす)が持つ鯛(たい)を加えると、天と地と水の存在(そんざい)によって、組み合わされていることが判(わか)ります。
 すなわち、インド・中国・日本の三国の神々が集められていると同時に、わたしたち人間を守護(しゅご)するための、如来(にょらい)の神変不可思議(しんぺんふかしぎ)な生命の風光が、象徴(しょうちょう)されています。
 生きとし生けるものが群(むら)がり縺(もつ)れて生きる生命の世界を、海にたとえて生死海(せいしかい)といいます。
 宝船(たからぶね)とは、生命の船であり、生命こそは何ものにも代(か)え難(がた)い宝であり、衆生(しゅじょう)に千差万別(せんさばんべつ)あれど、すべて如来(にょらい)の生命であるということを象徴(しょうちょう)しているのです。
 七福神を信ずることにより、インド・中国・日本の教えを理解することが出来るといっても過言(かごん)ではないでしょう。
 
(清鏡寺 人物)清鏡寺(清鏡寺)
〈ゑびす神〉
光市浅江
電話
(0833) 71-3338
 当寺は慶長十三年、高松城主清水宗治公追福の為、嫡子源三郎が建立。
 開山は、阿闍梨法印快真大和尚であり、真言宗御室派に属す。
 本尊は不動尊であり、本堂後方には、光市指定有形文化財の清水宗治公之墓、並びに清水宗治主従の墓がある。
 ゑびす神は七福神の一神で、商売繁昌の神として有名である。
 
(大日山冠念寺 人物)大日山冠念寺(大日山冠念寺)
〈布袋尊〉
熊毛郡大和町岩田
電話
(082048) 2381
 当山は琳聖太子来朝の時、推古六年、当地に錫を曳き堂宇を創立し、大日如来を安置し給う。
 其の後百七十八年後、聖武天皇・天平十年正月、行基菩薩巡錫の時、当村庄司中村昌治なる者を施主として、当所に大伽藍を建立し、同時に六カ坊を建立し、一山一新となる。
 明治四年、正覚寺と冠念寺を合併し、寺号を大日山冠念寺と言うようになった。
 当寺の本尊は大日如来(行基作)で、真言宗御室派に属す。
 布袋尊は、七福神の一人として崇められ、吉凶の予断にすぐれ、その奇行と異相から福徳円満の徳をさずけられる。
 当寺は、特に四月二十八日の大日市が有名で、数多くの参拝者でにぎわう。
 
(三光寺 人物)三光寺(三光寺)
〈弁財天〉
熊毛郡熊毛町清尾
電話
(0833) 91-0459
 この寺は、高水神社の七坊の一つで三蔵院の跡開山、小西妙真法尼開基、山号を新宮山、寺名を三光寺と言い、真言宗善通寺派に属している。
 域内に百余体の諸仏、百八十余体の豆地蔵、三十余柱の諸神を祀る。
 中に清き霊水をたたえる弁天池には、七福神の中、唯一の女神である弁財天を祀る。商売繁昌・諸願成就を御祈願いたします。
 
 
●周南七福神まいり案内図
 
●周南七福神まいり案内図
 
周南七福神について
 古くから七福神霊場の参拝は、庶民の間で親しく信仰されて来ました。
 七福神とは、ゑびす神・大黒天(だいこくてん)・毘沙門天(びしゃもんてん)・弁財天(べんざいてん)・福禄寿神(ふくろくじゅじん)・寿老神(じゅろうじん)・布袋尊(ほていそん)です。
 七福神霊場は、関東・関西に多く、中国地方ではあまりございません。
 しかし、中国地方の人々も、七福神の御神徳を知らないはずはございません。その証拠(しょうこ)に、関東・関西の霊場に数多くの参拝者がおまいりされます。
 此度、周南地方の真言宗の七カ寺に、お祀(まつ)りされている七福神にお働き願うべく、周南七福神霊場を開創(かいそう)いたしました。
 どうぞ周南七福神に参拝されまして、七福神の福運をお授(さず)かり下さいませ。
 
(多聞院 人物)多聞院(多聞院)
〈毘沙門天〉
下松市生野屋
電話
(0833) 43-2188
 当山は、下松市生野屋字宮本にあり、京都市右京区御室にある真言宗御室派総本山仁和寺の末寺であって、山号を松尾山多聞院長楽寺と称する。
 当寺の歴史は、百十九代仁孝天皇文政二年(一八一九)に悉く焼失したため、寺伝等詳かではないが、遠く和銅二年(七〇九)に草創された古刹である。
 当寺には星宿図があり、鎌倉初期の優秀な作品で順弥山図と言われ、山口県の有形文化財に指定されている。
 当寺の本尊は、七福神の一神である毘沙門天で、多くの人々に信仰され現在に至っている。
 
(閼伽井坊 人物)閼伽井坊(閼伽井坊)
〈寿老人〉
下松市花岡
電話
(0833) 44-8409
 この寺は和銅二年、宇佐八幡宮の分霊としてお祀りした花岡八幡宮の社坊九カ寺の内、現存する唯一の寺で山号を華岳山、寺名を閼伽井坊と言い、真言宗御室派に属している。
 閼伽井とは、神仏に供える清浄な水を汲む井戸のことを言い、古来より万病に効くと伝えられ、長寿の水として今も豊かに湧き出ている。
 境内に千体観音を祀り、周防三十三観音第十二番の霊場として、毎月十七日が縁日で、多くの信者が参詣している。
 また、八幡宮にある多宝塔は、国の重要文化財に指定された優秀な建物である。
 三天堂には不老長寿の神、寿老神をお祀りし、老いる苦しみを転じて福とする様、徳をいただけます。
 
(荘宮寺 人物)荘宮寺(荘宮寺)
〈福禄寿神〉
新南陽市富田
電話
(0834) 63-8474
 当寺は、神亀四年に開山、山崎八幡宮の別当であった。
 山号を荘寺山、寺号を荘宮寺と言い、真言宗御室派に属す。
 当山には、弘法大師八十八ヵ所霊場がある。
 本尊は薬師如来、七福神のうち福禄寿を祀る。福禄寿神は、幸福・高禄・長寿の三徳を与えられる。
 因みに、福禄寿神は、長頭白髯の老道士の姿で親しまれ、経巻を結んだ杖を携え、鶴を従えておられる。
 
(妙見宮鷲頭寺 人物)妙見宮鷲頭寺(妙見宮鷲頭寺)
〈大黒天〉
下松市中市
電話
(0833) 41-1345
 当寺は推古五年(五九七)大内氏の太祖琳聖太子によって開かれ、大内氏の氏神として栄え、妙見信仰発祥の宮寺と言われている。
 御縁日は毎月十八日で、正月・大黒天祭(一月七日)・節分祭・風鎮祭(八月三十日)・降臨祭(九月十八日)・七五三(十一月十五日)等には数多くの参拝者で賑わう。
 現在の下松市の地名発祥とも深いつながりがある。
 当寺の妙見さまが、推古三年九月十八日に、松の木に御降臨なされたことにより、下松の地名ができたと伝えられている。
 当寺の本尊は妙見大菩薩で、真言宗御室派の中本寺である。
 大黒天は七福神の一神で、金運招福の御利益があり、商売繁昌の神として多くの人々に親しまれている。