三、妙見菩薩の神咒

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 さて、妙見菩薩にはすべての衆生を広く救いなさっている大神咒(だいじんしゅう)がある。この咒(しゅう)の名を天竺にては胡捺波(こだつぱ)といい、漢の東晋の代の人はこの咒を擁護国土(ようごこくど)と呼んでいる。この神咒をもってすべての国土を助け守り、すべての災いを消滅させ、敵を退け、万民に幸福を与え、運を開かせ、寿命を授け、家業を繁昌させ、金銀、米銭、財宝を充満させ、男女には愛敬、子孫は長久にし、諸願は成就させなさる。故に人々は常にこの神咒を念誦(ねんじゅ)することに励めば、右のように諸願はみんな成就して思いのままに幸福になれる。その胡捺波の大神咒は次のようである。
  目低帝(ほちてい) 屠蘓〓(とそだ) 阿若密〓(あじゃみた) 烏都〓(うどた) 具耆〓(くぎだ) 波頼帝〓(はらちた) 耶弥若〓(やびじゃた) 烏都〓(うとた) 拘羅帝〓(くらちた) 耆摩〓(ぎまた) 莎訶(そまか)
 右の神咒は天台、真言、禅宗その他の宗旨で読み方が少しずつ違っているが、利益においては同じである。この神咒だけでなく、この外の陀羅尼真言(だらにしんごん)神咒でも、その宗旨の読み方に大差はない。ただし、この神咒も普通、真言蔵(ぞう)には目(もく)を


といっている。この咒を梵字で書くときは次の通りである。


 右の神咒に印契がある。智識について習いなさい。また、胡捺波を胡捺彼(こだつひ)とも胡〓波(こけいは)ともする経がある。