多様な地形と地質

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多摩市は、多摩丘陵の北縁に位置する面積二一・〇八平方キロメートルの比較的小さい市である。しかし、市域に展開する地形とこれを構成する地質は実に多様である。その理由は、市域が多摩丘陵の一角を構成していることによる。市域の九割近くが多摩丘陵に属していること、これが侵食谷・河岸段丘・氾濫低地(はんらんていち)・人工地形などの地形や、およそ一〇〇万年前にさかのぼる地質を分布させているのである。したがって、多摩市の地形と地質を記述するにあたり、多摩丘陵というひとつの地形的単位を無視することはできない。本章では、はじめに多摩丘陵の地形と地質について概説し、つぎに市域に展開する地形と地質について詳述していく。最後に、市域における環境の変遷を地史的な観点から述べることにする。