図1―5 大栗川右岸に発達する河岸段丘の断面
断面の位置は、図1―3を参照。
大栗川右岸に位置する高位段丘は(図1―6)、東寺方から和田の南部にかけての標高七〇~八〇メートルに発達し、市域で最も広い面積を占めている。段丘の傾斜は、上流側から下流側に向かって一〇〇〇分の六程度、大栗川に直交する方向でも一〇〇〇分の二〇程度と緩い。段丘上は、このように比較的平らであるが、段丘と大栗川の河床との比高は、東寺方の宝泉院付近で一五メートル(図1―5)、和田の高蔵院付近で一六メートルもある。また、大栗川から段丘上に向かって、幅五〇~八〇メートル、長さ八〇〇~一〇〇〇メートルの侵食谷が発達している。この侵食谷は、深さ二メートル程度と浅く、丘陵地に発達する谷とは異なった形態を示している。いっぽう、乞田川下流の連光寺二丁目から三丁目にかけての高位段丘は、丘腹・丘麓斜面に連続するように、標高六五~八四メートルに分布している。この高位段丘の傾斜は、大栗川のそれに比べて急で、北西方向に一〇〇〇分の三七程度の傾きがある。乞田川との比高は、連光寺二丁目の本村公園付近でおよそ二二メートルと高いが、段丘を切って発達する谷底平野とは八~一四メートルと小さくなっている。
図1―6 和田から東寺方に広がる高位段丘
低位段丘は、大栗川右岸、並木公園の北東に位置する、標高六〇メートルの段丘である(図1―5)。この段丘は、一辺が一〇〇メートル程度の小さい段丘であるが、上位段丘との間におよそ六メートルのがけ(段丘崖(だんきゅうがい))が形成されている。この段丘崖は、地図上でも明らかな傾斜変換線として認めることができる。低位段丘と大栗川の河床との比高は、およそ四メートルを示し、高位段丘のそれに比べて小さい。