地質概要

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市域に発達する地形を構成するのは、更新世以降の比較的新しい地質時代(表1―1)に堆積した地層である。このため、これらの地層は岩石のようにち密で固結しているわけではなく、半固結から未固結の状態にある。市域で最も古い地質時代に堆積した地層は、丘陵地を形作っている。この丘陵地は、おもに上総層群の連光寺層と稲城層によって構成され、丘腹斜面上部から丘頂斜面にかけては、御殿峠礫層や多摩Ⅰローム層以降の関東ローム層が堆積する(図1―9)。連光寺層は礫、泥、砂の互層からなる層厚一一〇メートルの地層で、市域の広い範囲に分布する(図1―2)。連光寺層の礫質部は、礫径三〇ミリメートル以下の亜円礫を主体とし、泥質部は暗灰~暗青灰色を呈する泥岩、砂質部は黄灰色の細砂からなっている。この連光寺層の上位には、稲城層と呼ばれる層厚一九〇メートルのとうたの良い砂層が重なっている。これらの地層をほぼ水平に切って、御殿峠礫層が標高一三〇メートルと一〇〇~一一〇メートルに発達する。この礫層を構成する礫は、市域では長径三〇〇ミリメートル程度までで、風化の著しい礫(クサリ礫)である。御殿峠礫層の上位には、粘土化の進んだ褐色の火山灰層である多摩ローム層が発達する。しかしその分布は点在的で、とくに市南部がニュータウン開発地域にあたり、現在切り通し(露頭(ろとう))が残っていないこともあって、詳細な検討は困難である。

図1―9 市域の地形・地質断面
地形断面は昭和29年修正測量、昭和32年3月発行の1:25,000地形図『武蔵府中』をもとに作成。断面の位置は図1―3を参照。

 大栗川・乞田川沿いの段丘は、丘陵地を構成する地層より新しい時代に堆積した地層からなっている。すなわち、高位段丘は、武蔵野礫層相当の段丘礫層と武蔵野ローム層以上の関東ローム層によって構成される。この段丘礫層は、大栗川右岸では層厚一~三メートルを示し、連光寺層を切って標高六三~六六メートルに発達する。また、武蔵野ローム層は段丘礫層の上位に堆積し、さらに上位には立川ローム層が被覆している。これらローム層全体の厚さは、六メートル程度である。いっぽう下位段丘は、立川礫層相当の段丘礫層と、立川ローム層以上のローム層によって構成されると思われる。しかし、この段丘には露頭がなく、ボーリング調査も実施されていないため、それぞれの層相の詳細については今後の研究に期待したい。
 氾濫低地や谷底平野は、沖積層と呼ばれる市域では最も若い地層からなる。沖積層は、氾濫低地では層厚六~七メートル程度、おもに礫径三~五〇〇ミリメートルの未固結の砂礫層からなる。いっぽう、谷底平野の沖積層は二~三メートルの層厚を示し、おもに粘土層やシルト層などの軟弱な地層で構成されている。以下では、市域で収集したボーリング資料(叢書(8)四四~四五ページ)と露頭観察の結果をもとにして、市域で確認されるこれらの地層について記述する。