御殿峠礫層

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御殿峠礫層は、およそ五〇万年前に古相模川の扇状地として形成された、層厚一〇~一五メートルの巨礫の集積する地層である。市域では、先述した連光寺層や稲城層をほぼ水平に切って、丘頂斜面から丘腹斜面付近に発達する(図1―9)。礫層は堆積時期の古い順に下部、中部、上部(岡一九九〇)に分けられるが、市域には、中部と上部がそれぞれ標高一三〇メートルと一〇〇~一一〇メートルで確認される。またこの御殿峠礫層は、層相に基づいて礫層と粘土層に細分されている。礫層に含まれる礫の粒径は、模式地の御殿峠では一〇〇~三〇〇ミリメートル、最大一メートルと大きいが、市域(聖ケ丘)では二〇~四〇ミリメートルを主体とし、最大で三二〇ミリメートルを示し小さくなっている(図1―12)。礫種は、多いものから順に砂岩・けつ岩、安山岩・玄武岩、せん緑岩、緑色凝灰岩など(羽鳥・寿円一九五八)で構成され、けつ岩と玄武岩以外は、風化が著しく、スコップで削れるほど粘土化した「クサリ礫」となっている。礫層の上位に発達する粘土層は、細礫や植物片を混じえるが、その分布は断片的である。

図1―12 御殿峠礫層の粒径分布
聖ケ丘(調査地点は図1―3を参照)の露頭から粒径5mm以上の礫を対象に分析。

 市域で得られたボーリング資料に基づくと、市南部の南鶴牧小学校(図1―10・1)では、連光寺層の砂質部を不整合に切る御殿峠礫層中部が認められる。礫層は凝灰質粘土を主体とする層厚二メートルの薄層で、下限はおよそ標高一三二メートルを示す。礫は砂岩や凝灰岩などからなり、最大礫径一〇〇ミリメートルを記録する。この上位には、層厚約四メートルの礫混じりの粘土質ロームが堆積する。ここに含まれる礫は、五~一五ミリメートルの円礫~角礫で不規則に混入する。また、北落合小学校(図1―10・4)では、御殿峠礫層上部が連光寺層の泥質部(固結シルト)を切って発達する。礫層は層厚およそ六メートルの暗茶褐灰色のシルト混じり砂礫層であり、下限は標高約一一三メートルを示す。礫は三〇~一〇〇ミリメートル、最大二五〇ミリメートルの円礫であるが、上部ほど礫の粘土化が激しい。また、聖ケ丘小学校(図1―10・3)では、細砂やところによって泥層を挟在する層厚六メートルの砂礫層となって、標高一一三メートルを下限として発達する。礫層は下位のものが一・五~四メートルと厚く、上位のものは一メートル以下と薄い。礫径は一〇~三〇ミリメートルを主体とするが、所々に礫径五〇ミリメートルの礫を混入する。上下の礫層の間にはさまれる砂層は、層厚二メートル程度、上位に泥層をのせる場合、その層厚はおよそ二メートルである。