図1―20 立川ローム堆積以降の環境変遷
貝塚『東京の自然史』から編集。
海面が最も低下した二万年前以降から、今度は海面は急速に上昇を始めた。この急速な海面上昇に伴って、諸河川に刻まれた谷は埋め立てられていった。この時期の堆積物が、沖積層である。市域の河川沿いや多摩川の河道沿いの沖積層は、およそ二万年前以降に堆積を始めたものである。この時期以降の気候環境は(図1―20)、ごくおおまかにみると、海面がもっとも低下していた最終氷期が極寒ないし寒冷、その後海面の上昇に伴って漸暖→温暖→減暖と変化してきた。今からおよそ一万~八〇〇〇年前の漸暖な時期は、年平均気温で今より三度ほど寒く、八〇〇〇~四〇〇〇年ほど前の温暖期には、二~三度暖かかったと考えられている。温暖期の海面は、今より数メートル高かったと考えられ、海は内陸まで深く浸入していた(縄文海進)。温暖期以降も小さい海進や海退が起こったが、海面はおよそ一五〇〇年前ころからは大きく変動することなく現在に至っている。
参考文献
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