多摩市の土壌の一つは、多摩川低地に広がり、第四紀新層の多摩川沖積物を母材として形成、発達した低地土壌で、前述したように網目状流路とその周辺で土性および土層厚が異なっている。東京都(一九九五)は縮尺五万分の一の八王子・藤沢・上野原土壌図を発表した(図1―22)。多摩川、大栗川、乞田川の形成した低地の大部分は、すでに住宅地や工場用地に利用され、人工的に改変されている。人工的な改変を免れた土壌の一部は、乾燥化が進行し、灰色低地土壌(東京都農業試験場一九八二)から褐色低地土壌へと変化した。褐色低地土壌を細分して、細粒質(斑紋なし)と礫質(斑紋なし)とに分類すると、細粒質(斑紋なし)は、一七ヘクタール(多摩市全面積二一〇八ヘクタールの〇・八パーセント)、礫質(斑紋なし)は、一一ヘクタール(〇・五パーセント)を占める。しかし、平成二年(一九九〇)でも、水稲栽培を行なっている四ヘクタール(〇・二パーセント)ほどの水田は、褐色低地土壌、黒ボクグライ土壌・厚層腐植質(東京都一九九五)に分類されている。
図1―21 土壌調査地点
図1―22 多摩市の土壌分布図(東京都、平成7年)
A-h(A)黒ボク土壌・腐植質(農地)
A-h(F)黒ボク土壌・腐植質(林地)
AG-th 黒ボクグライ土壌・厚層腐植質
BL-f 褐色低地土壌・細粒質(斑紋なし)
BL-s 褐色低地土壌・礫質(斑紋なし)
C1-1 人工改変地Ⅰ―1(住宅・工場など、火山灰台地)
C1-2 人工改変地Ⅰ―2(住宅・工場など、沖積地・台地)
C2 人工改変地Ⅱ(ゴルフ場・墓地)
C3 人工改変地Ⅲ(大規模改変地)
A-h(F)黒ボク土壌・腐植質(林地)
AG-th 黒ボクグライ土壌・厚層腐植質
BL-f 褐色低地土壌・細粒質(斑紋なし)
BL-s 褐色低地土壌・礫質(斑紋なし)
C1-1 人工改変地Ⅰ―1(住宅・工場など、火山灰台地)
C1-2 人工改変地Ⅰ―2(住宅・工場など、沖積地・台地)
C2 人工改変地Ⅱ(ゴルフ場・墓地)
C3 人工改変地Ⅲ(大規模改変地)