十二月三十日四時三十分ころ、すなわち最低気温出現時刻の気温分布である。東の稲城市との境、南の町田市との境、愛宕の丘など高地は高温域となっている。一方低温域となっているのは落合から永山、馬引沢のニュータウンの地域、桜ケ丘の東と西の麓である。気温分布図上で最大気温差は四・二度Cと大きい。気温分布の形は地形との対応が明らかであり、高地の気温は一時間前の観測値よりも高くなっている。土地の高低差のある地形上では冬季の明け方しばしばこのような気温の逆転現象が起こることが知られている。多摩市のような最大一〇〇メートル程度の土地の起伏においてもこのような接地逆転現象が確認された。午前零時ころに地域内の気温差が少なくなった後、明け方になると乞田川沿いの低地は冷気が滞留するが、周辺の高地には暖気が循環してくると考えられる(図1―37)。
図1―37 多摩市冬の明け方の気温分布(昭和61年12月30日4時30分)