アイソプレス

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前述の気温分布図は地域内の気温分布をある時間の断面で切って表したものである。そこでは気温の水平的な分布はよく表現されるが、時間的な変化はとらえにくい。そこで気温分布図を地図の一方向の断面(ここでは南北方向)で切って表し、時間的な変化を縦軸に示した図がアイソプレスである。アイソプレスによって気温分布のある断面の時間的な変化をとらえることができる。
 図1―38は昭和六十一年(一九八六)十二月二十九~三十日のアイソプレスで、地図上の断面は移動観測点の多い道路に沿ってほぼ南北方向(N25°E―S25°W)にとった。すなわち関戸橋から市役所を通り、南豊ケ丘小学校に抜ける直線である。図の下部は二十九日の最高気温の時刻である。このとき市の北部が高温、南部が低温となっている。時刻を追って上に見ていくと、夕方から夜にかけて乞田川付近と川崎街道以北が高温となっている。そして早朝四時ごろに最低気温が現れ、多摩市役所の少し北あたりと、小田急多摩線より南部が低温域になっている。この二地点はその後日の出直前までゆっくり昇温する。七時、日の出とともに気温は急に上昇し、午前中には気温の地域差にあまり顕著なものは現れない。

図1―38 多摩市気温のアイソプレス(昭和61年12月29~30日)