―明神橋―久保ケ下橋の下流部に位置している。護岸はコンクリートブロック、河床は礫及び砂である。上流部測水地点に比較すると毎年の流量平均値は毎秒〇・一立方メートルほど多くなっている。BODについては久保ケ下橋の場合とほぼ同様である。SS並びにDOは微弱ながら悪化の傾向をしめしている。なお、平成元年度(一九八九)から同四年度(一九九二)までの間におけるBODの季節的傾向をみると(多摩市の環境保全、平成五年度版)、明らかに夏季に低く冬季に高くなっている。この状況は大栗川の各測水地点について一般的にいえることである。
―新大栗橋―乞田川合流点の直上流の測水地点で、護岸は石積みまたはコンクリートブロックである。河床は自然の礫で瀬及び淵から成っているが、高水敷は砂質土壌と草地から成っている(図1―55)。大雨の後の増水によって瀬の部分の流路が変わることがある。流水量の年平均値は過去八か年間とも久保ケ下橋、明神橋のデータと同じ傾向にあるが、若干水量が増している。流下するにしたがって水量が増すのは、地下水による涵養の結果かまたは流域の生活雑排水の流入の結果か判定しにくい。あるいは両者が係わりあっているのかもしれない。水質のうち、BOD値は直上測水地点に比べると、昭和六十年度(一九八五)以降平成元年度(一九八九)までは漸増傾向にあったが、その後の三か年は著しい減少に転じ、平成四年度(一九九二)に至っては環境基準のB類型に近い一リットル当たり三・二ミリグラムを示している。これは乞田川における過去八か年間の三測水地点の平均値にほぼ相当する数値である。なお、測水地点のデータそのものは年々減少傾向をたどり、一貫して改善の方向を歩んできた。SSの経年変化は横ばい傾向にあり、また、DOの経年変化も魚類の生息にとって最低必要とされる一リットル当たり五ミリグラムを大きく上回る九・六~一三・〇ミリグラムで推移し、変動傾向はみられない。ただし、SSについては直上測水地点に比べた場合バラツキが大きく傾向的変化は見出だせないが、DOは各年とも若干の増加を示し、流下地点での水質の改善を物語っている。
図1―55 乞田川と大栗川の合流点
高水敷は砂質土壌と草地からなり、河床は砂礫質である。魚類の生息可能な河況である