市域の浅井戸分布と地下水利用

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多摩市域における地下水の利用状況などを知る一環として、一般家庭用井戸を対象に昭和六十二年(一九八七)二月に井戸所在の確認調査を実施した。その結果一六六井を確認したが、さらに平成七年(一九九五)二月~三月には再度補足調査を行った。しかし、これらの井戸所在確認調査は完全なものでなく、調査洩れの井戸も多くあると思われる。
 多摩市域で現在までに確認できた井戸の所在に関する地域的分布をみると、連光寺地区には市全体の約四〇パーセントの井戸が集中していることが理解できた。そのほかの地域では、和田地区で約一五パーセント、東寺方地区で約一〇パーセント、関戸地区で約八パーセントなどであり、桜ケ丘や多摩ニュータウンの建設造成地などのいわゆる計画的な住宅地域では、すでに井戸の存在を確認することがほとんどできない状態にある。したがって、現在の井戸分布の特徴は、前記した市域北部の既成集落に集中してみられる傾向が示される。現在、井戸の用途としては大略雑用水としての利用が最も多くみられるが、一部の家庭ではいまだ飲料水として利用している井戸も存在する。一般に都市域の生活用水は公共の上水道普及に伴い、井戸水を利用する傾向は激減し、多くは廃止してしまうことが多い。しかし、将来の不測の事態(地震、渇水など)に備えて井戸水の確保を行っておくことは、きわめて重要なことである。