林が畑や草地、道路といった開放空間と接する部分には、しばしば陽光を好む亜高木や低木類、つる性植物などによる独特の植物群落(マント群落)が縁取っている。この群落は植物社会学的にはノイバラ群綱に位置づけられるもので、多摩市においてはニガイチゴ・タラノキ群落、クサギ・ヌルデ群落、アズマネザサ・ススキ群集、クズ・カナムグラ群集などが認められている。
ニガイチゴ・タラノキ群落は、丘陵の明るい林縁に認められる低木群落で、立地は概して乾性でやや貧栄養なローム層がむきだしたような、痩せた立地に適応する群落である。ニガイチゴ、タラノキのほか、ヤマハギ、コゴメウツギ、モミジイチゴなどを主とした群落で、ときにアカマツやケヤマハンノキ、ニシキウツギなどもよく混じる。
クサギ・ヌルデ群落は、ヌルデやクサギが優占していることで識別される落葉性の低木群落で、アカメガシワやスイカズラ、ノブドウ、アケビ、ヤマノイモなどのつる性植物をよく含んでいる。この群落は丘陵のほか、沖積低地や河川敷、長く放棄された造成法面などにも小面積であるが見ることができる。
アズマネザサ・ススキ群集は、アズマネザサが優占していることで特徴づけられる群集で、丘陵部では林縁の放棄された畑跡など、広い面積にアズマネザサが密生した群落を形成する。そのために構成種は少なく、クズ、ナワシロイチゴ、スイカズラ、オニドコロ、ヘクソカズラ、ヤブガラシなどのつる性植物がわずか混じる程度である。
クズ・カナムグラ群集は、クズやカナムグラが優占していることで識別される群落で、造成後の裸地や畑放棄地に先駆的に侵入し形成された群落で、河原などにも一部に分布している。