人や車などによって常に踏み付けられている路上の縁や、グラウンドの縁、空き地や駐車場の縁などに成立する群落(オオバコ群綱)で、踏まれ続けるという特殊な環境に適応した植物群によって構成された群落である。多摩市内においてはカゼクサ・オオバコ群集、アキメヒシバ・ネズミノオ群落、ミゾカクシ・オオジシバリ群集、ナガバギシギシ・ギシギシ群集が認められている。
カゼクサ・オオバコ群集は、やや踏まれる頻度の少ない路上にふつうに認められる群集で、カゼクサ、オオバコ、シロツメクサ、セイヨウタンポポなどで構成されている。さらに湿った環境ではクサイが特徴的に出現する群落(クサイ亜群集)が認められ、踏まれる頻度の高い路上などにはオヒシバの優占する群落(オヒシバ亜群集)が認められる。
アキメヒシバ・ネズミノオ群落は、アキメヒシバやネズミノオ、スズメノヒエを特徴的に含んでおり、乾いた路上に認められるイネ科の多年草による踏跡群落で、多摩市内では多摩川堤防上などに帯状に成立している。
ナガバギシギシ・ギシギシ群集は、富栄養な泥土の堆積した川辺などに広く認められる群落で、ナガバギシギシ、ギシギシ、アレチギシギシを特徴的に含むほか、オオイヌタデ、タカサブロウ、オオホウキギク、などを多く含んでいる。
ミゾカクシ・オオジシバリ群集は、オオジシバリ、ムラサキサギゴケ、ノチドメ、ヘビイチゴ、ミゾカクシなど匍匐性の背の低い多年生草本によって構成された群落で、水田のうちとくに湿田の畔道などに特徴的な群集である。このような群落は草刈りの頻度が高いことによって維持される。現在多摩市においてこのような湿田や畔の残されている部分はきわめて稀となっている。