ミゾソバ群集は、ミゾソバとケイヌビエを標徴種、識別種とする群落で、流水に接して成立し、増水による影響を直接受ける環境にあるために、一年生草本類が主な構成種となっている。多摩市内では多摩川の流水域や大栗川、乞田川下流域の水辺に細長い群落を形成している。
コアカザ・オオオナモミ群集は、河畔の肥沃で湿潤な泥土上に成立する群落で、河畔の造成盛土上や湿性な造成裸地などにも生ずる。ときにオオオナモミの単純群落になる場合もある。多摩市においては、やや乾燥した造成地などに先駆的に侵入した群落として成立し、シロザ、ケアリタソウ、シロツメクサ、オオイヌタデ、オオクサキビなどが混在している。
クワモドキ群落は、クワモドキ(オオブタクサ)の優占する群落で、河辺の過窒素化した湿り気のある泥土上や、造成地などに成立する。多摩市では多摩川と大栗川合流点付近に大きな群落を形成しているほか、各所のやや湿り気のある造成裸地や空き地に群落が見られる(図2―9)。クワモドキは第二次大戦以後昭和二十八年に静岡県で気付かれ、多摩地域でも数年後には浅川や多摩川に侵入し急速に分布を拡大していき、花粉による被害が各所で発生した。多摩市への侵入もそのころで、とくに河川敷の泥土上や大栗川の河畔に多く見られたほか、造成地の中にも侵入していた。
図2―9 クワモドキ(オオブタクサ)