カタクリ(ユリ科)

162 ~ 162
 山地や丘陵の斜面に群生する多年草。鱗茎は白色長楕円状で長さ約五センチメートル、葉はふつう二枚で花茎の下部につき、上下に細長い柄がある。葉身は長卵形で長さ一〇センチメートル前後、質はやわらかく、表面に暗紫色の斑紋があるが、無いものもある。花期は三月~四月。茎頂に淡紅色の花を一個下向きに開く。花被片は六枚で、長さ四~五センチメートル、基部近くにW字状の濃紫色の斑紋がある。花被片は全開すると反り返る。多摩地域の丘陵や河岸段丘崖などでの分布地のほとんどは北向き斜面にある。多摩市内にもごくわずか残存している。早春の二か月間ほどの間に開花結実して地上から姿を消す典型的な「春植物(スプリング・エフェメラル)」である(図2―17)。

図2―17 カタクリ