関東地方以西の本州、四国、九州の林下に散発的に生える腐生の多年草。和名は兵庫県摩耶山で最初に発見されたことによる。地下茎は長く横に這い、分枝し、有毛で根はない。花茎は高さ二〇センチメートル前後で直立し、葉は鱗片状に退化している。夏期、茎の上部に二~五個のシュンランに似て淡紅色、ときに淡緑色の花を開く。多摩市をはじめ多摩地域の八王子市、日野市、稲城市、町田市などで発見されているが、ごく稀である。また東京都内では三鷹市、大田区などでも報告されている。マヤランをはじめ無葉ラン類は、すべて地中の菌類と共生し養分の補給を受けているほか、微細な種子も菌類の助けを借りて発芽する。したがって菌類の生活し得る立地条件さえ整っていれば、発生する可能性はどこにも存在する。