山地の林下や林縁などに生える多年草。数本または多数束生する。茎は高さ一五~三〇センチメートル。葉は四枚輪生状に対生し、楕円形でふちに鋭鋸歯があり、表面は光沢がある。四月ごろ茎頂に白色の穂状花序を立て、多数の花弁のない花をつける。目立つのは三~五ミリメートルの白色糸状の雄しべの葯(やく)隔で、葯は黄色で基部両側につく。かつては多摩各地に多く見られたが、丘陵部では現在ごく稀となっている。多摩市においてもごく稀である。同属のフタリシズカのほうは比較的多く見られる(図2―27)。
図2―27 ヒトリシズカ