山地の湿地や河川敷などに群生する多年草。地下に太い匍匐茎(ほふくけい)がある。茎は高さ六〇センチメートル前後。葉は幅五ミリメートルほど。頂小穂は雄性、側小穂は雌性で長さ五センチメートル前後で、数個苞葉の脇から直立する。タニガワスゲに似ているが、束生せず群生すること、果胞(かほう)のくちばし部分に刺(とげ)がないことなどで区別できる。多摩地域では自生地が少ない。多摩市では乞田川沿いに一か所群生地があるが、現状では消滅の危機にさらされている。
このほか多摩市に自生するカヤツリグサ科スゲ属の中で、多摩地域として稀産の種としてはホンモンジスゲ、クサスゲ、アワボスゲが挙げられる。ホンモンジスゲは神奈川県には多産するほか、都区内でも各所で記録されている。しかし多摩市以北ではごく稀となる。クサスゲは多摩地域では稀産種であり、多摩市でも一箇所で記録されているのみである。アワボスゲは団地内の遊休地内湿地で記録されている。