江戸時代から現代まで、記録に残されている多摩市域の野生哺乳類は、六目・一〇科・二一種で、分類順に種名だけを列記してみると以下のとおりである。ヂネズミ・ヒミズ・アズマモグラ・アブラコウモリ・ヤマコウモリ・ノウサギ・ハタネズミ・カヤネズミ・アカネズミ・ドブネズミ・クマネズミ・タヌキ・キツネ・ノイヌ・オオカミ・テン・イタチ・アナグマ・ノネコ・イノシシ・シカ。この種類数は、本州産陸生哺乳類(六七種)の約三一パーセント、また、東京都産(四七種)の約四五パーセントに当たっている。今回(平成七年四月~十月)、実地に確認できたのは、二一種の中の三種(一四パーセント)にすぎなかった。野生の獣類は常に人目を避けて行動していて、その存在の有無さえも不明の場合が多いことを、この数字が物語っている。動物相をより確実に把握するためには、「わな」を用いた大がかりな捕獲調査が必要である。