図3―9 ヒメアマツバメの巣
おもにイワツバメの巣を利用して羽毛で外装する
図3―10 ツバメの巣 巣の形状はおわん型
図3―11 コシアカツバメの巣 巣の形状はとっくり型
図3―12 イワツバメの巣 巣は集合型
一方、多摩川では、以前には見ることができなかったカワウ・カモ類・ユリカモメなどが、今では四季それぞれの常連鳥として水辺の点景になっている。昭和三十年代の多摩村域の多摩川で記録できたカモ類といえば、少数のカルガモだけで、しかも人影を見ると遠くから飛び立ってしまうのが常であった。現在は、カモの種類・数ともに増え、しかも比較的近距離から観察できるようになったのは、愛鳥思想の普及と、昭和四十四年(一九六九)十月以降の銃猟禁止措置の効果によるものであろう。カワウが多摩川中流域に現われ始めた時期は、昭和六十年頃で、平成年代に入ると、一〇〇羽以上記録されるほど増加し、今回の調査で関戸多摩川の上を上流へ向かって飛行する約五〇〇羽の群を目撃した(平成七年十月二十三日)。上野の不忍池などの繁殖地から、東京湾などへ採餌に出かけていた群の一部が、多摩川中流域にまで進出してきたようである。ユリカモメは、昭和三十年代後半(一九六〇~一九六二)には、多摩村域の多摩川では目撃できなかったが、昭和四十年代から姿を見せ始め、多いときには一〇〇羽以上の群が記録されるようになった。食性は雑食性で、魚類・昆虫類・ネズミの死骸などから、残飯に至るまで貪欲にあさる鳥で、今では東京湾の埋立地のごみの山に群がる鳥の一つになっている。ユリカモメが多摩川中流域に姿を見せ始めた時期と、ごみ投棄量が増えて流域の環境汚染が始まった高度経済成長期とほぼ同時期であるのは、はなはだ皮肉な現象というべきであろうか。
図3―13 カワウ
遠距離飛行の時には、ガンの群のように編隊を組む