ゾウムシの仲間

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最後にゾウムシ類を紹介する。ひげの長いヒゲナガゾウムシ類は主に枯れ木に集まる。シロヒゲナガゾウムシ、カオジロヒゲナガゾウムシが普通にいる。ウシヅラヒゲナガゾウムシはエゴノキの実が食べ物である。オスは名前のように牛の顔によく似ていて、何となくユーモラスである。ノブドウにはブドウハマキチョッキリが見られる。葉を何枚かより合わせて幼虫のための巣を作る。オトシブミ類はさらに凝ったやり口で子孫を残している。この虫が巻いた幼虫のための葉の巣は、巣という言葉を完全に通り越して、ほとんど芸術品と思えるほど繊細で緻密である。エゴノキにはエゴツルクビオトシブミが、キブシにはウスモンオトシブミが(図3―33、34)、そしてコナラやノイバラにはヒメクロオトシブミが繊細な巣を作る。

図3―33 ウスモンオトシブミ
(多摩丘陵 平成3年5月26日)


図3―34 ウスモンオトシブミの幼虫のための巣(断面)
(多摩丘陵 昭和58年4月29日)

 クズの葉にはコフキゾウムシが、ごく普通に見られる。体長五ミリメートル程度で、きれいな淡緑色をしている。主に茎のほうにいるのはオジロアシナガゾウムシで、黒と白のはっきりした模様である。シロコブゾウムシもクズにいる場合があるが、ニセアカシアに住むのが普通である。エゴシギゾウムシは、鳥のシギから名前を頂いたように、口が非常に長いゾウムシである(図―35)。この口でエゴの実に穴を開け、そこへ卵を産みつける習性がある。ツツゾウムシは、コナラの立ち枯れの木に住み、名前のように体が筒状をしている。マダラアシゾウムシやオオゾウムシは樹液に集まるが、保護色をしているので見落としやすい。多摩川の河原にはイタドリが多いが、その葉上にカツオゾウムシが見られる。一方、ヨモギにはハスジカツオゾウムシがいる。

図3―35 エゴシギゾウムシ
(川崎市麻生区黒川 平成7年5月)