アリもハチの仲間

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アリの仲間もハチの一グループだと話すと、不思議な顔をされる方が多いが、事実である。クロオオアリとクロヤマアリが最も普通にいる種類で、名前のごとく、前者のほうが大きいので、大きさだけでほぼ区別がつく。珍しいものとしてはトゲアリ(体長七ミリメートル程度)がいるが、このアリは地面ではなく木のうろに巣を作る(図3―39)。この虫をよく観察すると、腰の部分の背中側に釣り針を逆さにしたような長く鋭い鉤(かぎ)状のとげが一対見える。この部分は専門的には前伸腹節と呼ぶが、腹部の一番前の節が独立したもので、アリ類に共通の特徴である。普通のアリでは、前伸腹節は小さく、三角錐(さんかくすい)状である。

図3―39 トゲアリ(多摩丘陵 5月)