アメンボとウンカ

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水性のカメムシとしては、アメンボ類が挙げられる。多摩市にはアメンボ(俗にナミアメンボ)が最も普通で、人工的な公園の池にもごく普通に見られる。幼虫、成虫共に水面に落ちた小さな虫を捕らえて体液を吸う肉食性の昆虫である。このほか、ヒメアメンボとシマアメンボの記録があるが、後者は木陰で小川のような流れのある場所に限って見られる。
 広い意味でカメムシ類に入れられるグループとして、ヨコバイやウンカ、そしてハゴロモ類がある。ヨコバイ類で最も大きく、かつ普通に見られる種類としてツマグロオオヨコバイが挙げられる(図3―41)。体長一三ミリメートル程度、黄緑色ではねの先に黒い帯がある。レンギョウやクワの木の汁を吸っているので、見かける機会も多い。成虫で冬越しする。ウンカ類は小型で目立たないものが多いが、アカハネナガウンカはススキの葉に止まっている状態のものが比較的よく観察できる。体長は四ミリメートル程度しかないが、名前のように体が朱色ではねが長く、体長の倍以上あるため案外目につきやすい。ハゴロモ類は数種類が見られる。まず、全体が薄緑色をした体長一〇ミリメートル程度のアオバハゴロモだが、クワ、イチジク、チャ、サクラなどの茎に止まっているのをよく目にする。ベッコウハゴロモやスケバハゴロモも同程度の大きさで、クワの木が好きであるが、クズについていることもよくある。

図3―41 ツマグロオオヨコバイ
(多摩丘陵 昭和60年3月7日)