ハエの仲間

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この仲間は、非常に多くの種類を含んでいるが、一般に馴染みが薄く、多摩市からは一〇〇種程度しか記録していないが、少なくともその一〇倍くらいは生息しているようである。
 まずハエの仲間であるが、大型で変わった形のミツモンハチモドキバエについて触れたいと思う。大型とはいっても、体長一〇ミリメートル程度だが、雌は腹部が逆くの字型に湾曲している。草むらにいるが、夜電灯の明りに集まる習性があるので、駅のホームで偶然出くわす可能性は十分にある。オレンジがかった黄土色で比較的目につきやすいせいか、筆者は初夏には何度か駅のホームの窓に止まっているのを観察している。ベッコウバエも大型のハエで、体長は一五ミリメートルもある。はねが黄土色で、黒い斑点を持ち、わりと目立つ。雑木林の中にいて木の幹や葉の上に静止しているものが観察されている。どちらかというと秋遅くに観察されることが多い。ミナミカマバエは体長五ミリメートル程度の小さなハエだが、前足はカマキリのものとそっくりでびっくりしてしまう(図3―51)。湿った草むらの地面にいる。シロオビハリバエは、淡い灰色と黒のストライプで、体長一〇ミリメートル程度だが、わりと目立つハエである。団地の壁に止まっていたりする。ツマグロキンバエは、はねの先が黒い、体長七ミリメートルほどのハエで、花に集まる。キンバエは文字通り金緑色に輝くハエで、体長一〇ミリメートル程度、動物の死体や糞に集まる。マダラアシナガバエは体長六ミリメートル程度、雑木林の下草の葉の上に普通にいる金緑色をした細長いハエである。ホシアシナガヤセバエは体長八ミリメートル程度、はねがまだら模様で足が非常に長く、クヌギやコナラの樹液に集まる。

図3―51 ミナミカマバエ(吉谷昭憲作図)