樹液も吸うウシアブ

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次にアブの仲間であるが、オオイシアブとチャイロオオイシアブが草むらの葉の上に見られる。どちらも体長二〇ミリメートル強、体じゅう毛むくじゃらの肉食性のアブで、ほかの虫を捕らえて体液を吸う。アオメアブとシオヤアブも同様の習性である。前者は目が緑色をしており、後者は目は黒く、雄の尻の部分は白い毛に覆われているのでよく目に付く。ウシアブは体長二五ミリメートルもある大型のアブで、牛や家畜の血を吸う厄介者だが、樹液に集まることもある。ビロウドツリアブは体じゅうびろうどのような毛が密生したアブで、長い口を持っていて春先に出現し、花の蜜を吸っているのが観察できる(図3―52)。ハナアブは名前のとおり花の蜜を吸って暮すハエのような形のアブで、近似種が数種いる。ホソヒラタアブは小型の細長いアブで、体長一〇ミリメートル程度、花の蜜を吸いに集まる。幼虫は肉食性で、アブラムシ類が主食である。成虫はアブラムシの多い場所を探し、そのそばに卵を産みつける習性がある。キンアリスアブは体長一〇ミリメートル強、文字どおり金色の毛を密生したアブで、初夏日当たりのよい草むらにいる。幼虫はアリの巣に寄生することが知られている。

図3―52 ビロウドツリアブ
(多摩丘陵 昭和52年4月3日)