かわった習性をもつ虫

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雑木林のへりの葉の上にシリアゲムシという昆虫が見られる(図3―54)。この虫は英語でスコーピオン・フライというが、まさにその形を言い得て妙である。雄の成虫は腹部の先が強く背中側に巻き上がり、先端にはさみを持っている。そして、この昆虫の配偶行動としての習性が非常におもしろい。雄はまず獲物として小さな虫を捕らえるが、雌と交尾をする際に、その獲物を先に雌にプレゼントするのである。そうして雌が獲物を食べている間に、ちゃっかりと交尾を済ませてしまうのである。どれくらい昔にこのような習性を獲得できたのか、不思議というほかはない。
 このほかに、トビケラ目、カワゲラ目、カゲロウ目などの昆虫が記録できているが、種名の判定が難しく、きちんと整理できていないので、ここでは触れない。

図3―54 シリアゲムシ
(多摩丘陵 昭和55年9月21日)