2 縄文土器の編年

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 縄文土器の形態や文様は時代や地域によって千差万別であり、一方で地域や時期ごとにまとまりや共通性をもっている。これは、土器の形態や文様がそれを作った人々が生きた時代や地域の流行や意識を反映しているためである。こうした土器の形態や文様、さらに出土層位によって、縄文土器の編年が構成され、それにより縄文時代は古いほうから草創期、早期、前期、中期、後期、晩期の六期に大別され、各期はさらに一〇数段階に細分されている。
 縄文土器の編年は山内清男氏らを中心に始められ、近年では小林達雄氏によって集団、文化、社会などを包括し体系化する様式という概念が提唱されている。本書では小林達雄氏の概念に準拠したい。そのため、ここでは縄文土器に用いられる様式、型式、形式の用語について整理しておくと、次のようになる。
 様式(Style)…文様モチーフや施文具、その使い方、土器の胎土、色、作り方など、各土器に共通する気風と雰囲気を共通するまとまり。いくつかの型式を複合する。細分された加曾利(かそり)EⅠ式や加曾利EⅡ式などは、各様式内の段階(階梯)に近い。
 型式(Type)…ある集団の模範的な型=範型(Model)によって製作された土器自身の文様や形態の共通性によってまとめられる、相似た出来上がりを示す一群。
 形式(Form)…地域や時間、集団を越えて形態的特徴を共通するもので、深鉢形土器その他の器形や器種。
 多摩丘陵を含む関東地方では、約一八の様式、五〇余型式に細分されている(図4―9)。

図4―9 縄文土器編年(西南関東中心)