第八節 人と物とのつながり

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 多摩の縄文人は様々な地域と交流した。こうした交流の痕跡は遺跡や遺物から読み取れるが、交流のあり方には人とともに物が動く場合と、物だけが動く場合とがある。前者には婚姻やムラの統合、吸収、合体などが、後者には交易などによる製品や素材の移動がある。人とともに動くものの代表には土器があり、これにも作り手の移動と製品の移動がある。素材の移動の代表には黒曜石や硬玉があり、多摩地域では入手できない素材が交易によってもたらされた。こうした交易も人を介して行われ、人の交流も盛んに行われた。また、縄文人はある種の石材に関して特別な価値観をもっていた。そのため、特定の産地の物が多摩に持ち込まれたのである。