天守台・城山

628 ~ 629
桜ケ丘に所在する。大栗川・多摩川に面し、武蔵の台地を一望できる眺望の地であり、この辺りを「城山」とも称す。山頂部は削平されており近世に勧請された琴平社が祀られている。西股総生氏によれば北側の尾根に堀切が確認されており、物見台的な城砦施設であろうとされている(西股一九九〇)。関戸合戦の伝承地として『武蔵名所図会』に「義貞はここに陣をすえて、翌十七日一日逗留して軍勢の着到を附けられれけるに、その軍勢凡そ六十万七千余騎とぞしるされけり、その時、義貞の陣をこの台にすえられける跡ゆえに、土人称して天守台と号しける、」と記されている。また、永享の乱において鎌倉公方足利持氏が、府中高安寺から相模海老名道場に陣を移す際に越えた「関戸山」もこの地のことであろうか(資一―728)。
  西股総生「多摩川周辺の城砦群」『中世城郭研究』四、一九九〇年