ほとんどの村民は、多かれ少なかれ村全体の運営維持にかかわり、村のなかのより小規模の集団にも組み込まれて、村民として村のつきあいを果たしていたのである。
これらに対し、村の構成単位である個々の家々にも、家ごとにつきあいがあった。
伝存している資料をみると、冠婚葬祭の施行記録=祝儀・不祝儀帳がたいてい保存されている。この節では、多摩市域内に残された江戸時代の祝儀・不祝儀帳から、いつ、何のとき、どこのだれから、何をいくら贈られているかについて、そうした記録のひとつひとつを読み解くことによって、この地域の家のつきあいのあり方を考えてみたい。