指定継続の請願

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日露戦争後の連光寺村御猟場区域民の動向に対しても、宮内省主猟局は危惧の念をいだいた。御猟場指定更新期限(下賜金受領の更新期限、明治四十年(一九〇七)三月)が間近となった明治三十九年十一月七日、主猟局属の沢木直行から御猟場監守長富沢政恕に対し、御猟場区域民の間で苦情などがないか、継続希望の意向があるかについて知らせてほしいとの書状が送られている。これに対して、政恕は、御猟場内人民の惣代は、みな継続希望であるとの返答を行った。この返答を得た主猟局属沢木直行は十二月一日に、政恕に対し改めて書状をしたため、主猟局長は継続希望の請願書を差し出してほしいとの考えをもっていると伝えている。そして、同年中に、多摩村全一〇区人民総代、多摩村村会議員連署の御猟場継続請願書を、東京府知事千家尊福と宮内省主猟局のそれぞれに提出した。この請願書は、契約期限を迎えても、御猟場指定を永年継続し、またこれまで区域外であった落合、和田、百草の三区を連光寺村御猟場に編入し、多摩全村域をもって「多摩村御猟場」と改称してほしいという内容のものであった。明治二十五年(一八九二)更新時にも政恕によって示された「多摩村御猟場」構想が再び示されたのである。

図1―6―7 御猟場継続請願書
「多摩村御猟場」構想が示されている

 継続請願書が提出される少し前の十二月十一日には、主猟局によって全国の各御猟場の区分、主要な狩猟対象の鳥獣、魚類、御猟場にとっての有害動物が定められた。連光寺村御猟場も、従来通り二区に区分され(表1―6―6)、狩猟対象鳥獣は、雉子、山鳥、兎、鴨、山鷸(しぎ)、鶉と改めて定められている。また、御猟場にとっての有害鳥獣は、狐、貂(てん)、狸、鼬(いたち)、鷲、鷹、鳶、烏、蛇と定められた。あわせて「御猟場狩猟者心得」も同時に制定し、監守長に対し通達している。