図2―1―12 乳牛の放牧
畜産に関する特筆すべき話題としてもう一つを挙げるとすれば、家兎の飼養ということになる(『毎日新聞』昭和二十一年七月十三日付)。東京都農業会の南多摩支部は、生産維持と戦災復興の観点から、家兎の皮革援産場の新設を計画していた。南多摩郡管内で飼育されている家兎は約五〇〇〇羽で、稲城村、恩方村、多摩村、鶴川村で最も盛んに飼われていた。戦時中の三多摩での皮革生産は年産約一万二〇〇〇枚であり、「南多摩郡は最も多く生産してゐた」という。家兎の毛と皮革は防寒用であり、戦時中は軍部専用の産品であった。戦後は、皮革用として、また、食用として、飼養することが奨励されていた。