平成二年(一九九〇)六月に市議会で議決された基本構想(第三次)によれば、第二次基本構想の期間に「都市基盤や生活関連施設の整備をはじめ行政施策の充実に努め、計画化した事業はおおむね達成し、大きな発展をみることができた」と評価されている。平成三年からの基本構想では、多摩市域において「多摩ニュータウン事業が仕上げの段階に入り、多摩地域の中核都市へと発展する可能性が高まっている」として、いまは「成長の段階から成熟の段階への移行期間」であり、「心のふれあういきいき多摩」を将来の都市像としてまちづくりに取り組むこととした。
多摩市では平成十二年(二〇〇〇)三月の基本構想議決、同年九月の基本計画決定をめざして、第四次多摩市総合計画の策定作業に取り組んでいる。その策定方針によれば、多摩市の現状は「本市の成長を支えてきた多摩ニュータウン事業が収束に向かい、まちも成熟の度を深め、コミュニティが育まれる中で様々な市民活動が高まりをみせており、本市のまちづくりは、新たな段階を迎えている」とされている。開発やそれにともなう産業の振興にあわせたまちづくりの段階は終わりを告げた。これからの多摩市において「行政が市民、民間、非営利活動団体等とパートナーシップを形成し、二十一世紀型の分権型市民協働社会の礎を」築いていけるよう、行政と市民とがともに主体となって、このまちの来歴を振り返りながら、将来のあり方を考えていくことが求められている。