地形気候など

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多摩市は多摩丘陵の一角にあり、多摩川の氾濫低地と、多摩川の支流である大栗川の下流域および乞田川流域、さらに大栗川・乞田川に枝状に流れ込む小河川が作る谷戸地や丘陵地からなりたっていた。海抜は低地部が五〇~六〇メートル、丘陵部の最高所は一六〇メートルほどで、その形状は図1-6の上の図のようであった。しかし、多摩ニュータウンの造成開始とともに次第に尾根部分が削りとられ、丘陵部は図1-6の下の図のように、海抜九〇~一二〇メートルの部分が多い、凹凸の比較的少ない地形になってしまった。

図1-6 高度別地形区分(国土地理院2万5000分の1地形図より作成)

 農作物や樹木の種類および生育状況に密接にかかわる土壌は、多摩川の氾濫低地と丘陵地・谷戸地とでは異なっている。氾濫低地のは礫質灰色低地土に分類される土壌で、これは水田に利用されてきたが、近年徐々に畑や宅地に転換されるようになっている。丘陵地のは黒ボク土から黄褐色森林土や黒ボクグライ土に連続的に変化する土壌グループで、丘陵部分のこれらの上にはコナラやクヌギが群生し、美しい雑木林を形づくるとともに薪炭の原料として適宜伐採されてきた。また、谷戸地部分は水田などにも利用されていた。しかし、いずれも多摩ニュータウンの開発以降、削られたり谷が埋められたりして、新しい人工造成土にとって替わられつつあるようである。
 市域の年平均気温は摂氏一三・七度、年降水量は一八〇三・二ミリメートル(昭和六十二年~平成三年の平均)で、表日本型の気候区に属している。最暖月(八月)の最高気温の平均は二四・九度、最寒月(一月)の最低気温の平均は二・八度(昭和五十一年~六十年の平均)である。