祝儀・不祝儀のほか、子どもの誕生や成長儀礼に際しても地縁の家々が関与した。地縁の関与といってもコウジュウ全体にまで拡大されることはなく、クミアイ内の家々による贈答を伴う精神的援助が主だったようである。
子どもが誕生した時には、出産見舞いをかねてクミアイの家々からお祝いがなされる。初宮参りや初節供、初誕生、七歳等の祝いについても同様に祝いがなされるが、これらは親戚の家々によっても祝われる(むしろ現在では親戚の家中心の祝いとみられている)ので、詳しいことは、「第五節 家族と親族」に譲りたい。ただ、婚姻の際と同じく、これらがかつてはクミアイひいては村落による、新たな成員への重要な社会的承認の意味を持つものであったことを付言しておく。
なお、乞田地区では、かつて子どもが生まれたときには、ネネッコ抱きといって、クミアイの女性が米二升と麻を持って祝いに行ったという。