本家分家関係が明らかだと認識されている家々同士は、イッケ(一家)とかイチマキと呼ばれている。当然、同姓であるが、ツブレを継ぐ形で分家した場合にはツブレの姓を名乗るので異姓となる。また、同じ村落内の同姓の家同士も、本・分家の関係の認識がなければイッケではない。各イッケは姓を冠して何々イッケと呼ばれるが、一つの村落には数世帯から一〇世帯を擁するいくつかのイッケ集団がある。連光寺地区本村(ほんむら)の例を挙げると、六〇世帯ほどあった昭和三十年代には九つのイッケがあり、各イッケの世帯数はAイッケ一一、Bイッケ一八、Cイッケ三、Dイッケ八、Eイッケ三、Fイッケ四、Gイッケ七、Hイッケ三、Iイッケ二であった。このうち、構成員の少ないF・H・Iのイッケはそれぞれ近くにまとまって居住しており、これはイッケが、本家の所有耕地の分与によって分出していった結果を示すものかと思われる。
イッケの中で、本家は一般に本家とかオモテと呼ばれ、分家はシンタク・シンヤ・ニヤなどと呼ばれており、それらがそのまま屋号となっている例もある。